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富士通がEDI共通プラットフォームを構築

そもそもEDI共通プラットフォームとは?

2023年10月に、食品卸売業界を対象にしたEDI共通プラットフォームの運用が開始されました。
これは、富士通とサイバーリンクスがシステムを提供する形で、複数の食品卸売企業が参加し行われます。
参加している企業は伊藤忠食品、三井食品、三菱食品、日本アクセスなど、錚々たる企業ばかり。
このEDI共通プラットフォームの運用開始が業界にどのような影響を及ぼすのか、ビジネスシーンにおいて注目を集めている状況なのです。

そもそもこのEDI共通プラットフェームとは、EDI(電子データ交換システム)を共通のプラットフォームとして運用するためのものです。
従来の食品卸売業界では、このEDIを各食品卸売企業がデータ変換を行う形で運用されていました。
小売を担当している企業からの発注をはじめとした重要なデータを、それぞれがEDIを使って電子データに変換していたわけです。
しかし、この共通プラットフォームの導入によって、参加している食品卸売企業はみな共通のプラットフォームを利用してデータ変換ができるようになるため、コストの削減や業務の効率化が期待されているのです。

この制度の導入の背景にあるものとは?

このEDI共通プラットフォームの特徴からも、現代のコスト・効率重視の流れに合ったものであることはすぐにわかります。
しかし、導入された背景にはそれ以外にも、食品業界がかかえているさまざまな問題が関わっています。
というより、現在の日本のビジネスシーン全体が抱えている問題といってもよいでしょう。

まず、2023年10月に賛否両論が飛び交う中で導入されたのがインボイス制度です。
これによってデータ処理に面倒な作業が増えたと言われていますが、業務の効率が悪くなるだけでなく、EDIをはじめとしたデータ処理に関するシステムの開発のコスト増大も大きな問題となっています。
加えて、2024年1月には長年ネットで使用されてきたIDSNサービスが終了し、それにともなうシステム対応が求められる状況もありました。

もともと手間もコストもかかっている状況のなかでこうした問題が立て続けに現れたことで、業界全体で「もっと効率的な環境を作らないとまずい」という動きが進んだ、というのがこのEDI共通プラットフォームの運用開始の背景にある大きな理由なのです。
さらにこのEDI共通プラットフォームの導入によって、今後の法改正にともなうシステム対応の効率化や、発注をはじめとした小売店へのスムーズな対応といったメリットにも注目されています。

このシステムがどれだけ成果を挙げるかについては、これからどれだけ多くの企業が参加するかなど、まだ未知数の面もあります。
ただ、人手不足をはじめとした現代日本の問題点を解消する手段として、非常に魅力的な手段と言えるのは間違いなさそうです。